定禅寺2×3パフォーマンスステージ クマガイミホ「定禅寺ノンサイトスペシフィック」

2014年06月26日 15:19


のっけから、なんともふざけている!

これでも褒め言葉であるし、

彼女の、時にお笑い系な作風は、師近藤良平氏を崇拝してのことであるのも知っている。

また観た人には想像できないかもしれないが、実はとってもシャイなことの裏返しであることも。

クマガイが一発目だと言っていた、「メローイエロー…」から、私が観るのは6作目であるが、

どんどん余計な力も抜けて、反比例的に作品としての強度が増してきているのが分かる。

芝居の脚本を手掛けたこともあるクマガイ。

構成がしっかりしている。が、パーツとしては即興がベースとなっている。

いつもはお笑いから続く、明るくふわふわとしたファンタジックなダンスが続くのだが、

今回はクマガイのソリッドな表情もみられた。

「ノンサイトスペシフィック」

勉強不足で申し訳ないが、彼女がよく言っているところの「地踊り」ということか。

定禅寺「夏の思い出像」に何本ものゴムがくくられており、

そのゴムを縫い付けた服をクマガイが着ると、

豹変した。

ものすごい集中力で、

時折ゴムが首に引っかかるのではないかと観る側にも緊張が走る。

動きというよりは銅像との綱引きだ。

自由でない。抗っている。

そこから生まれるもの。

おそらく(というより本当に(と書いて「マジで」と読みます))練習していないから、

クマガイ自身もその時を、場を、味わっていたはずだ。


パラシュートを広げた時のようにアラスゴンドに保たれたアームス。

(クマガイはバレエの基礎もある。

バレエというと、脚がよく働くと思われるかもしれないが、

コンテンポラリーダンスで(クラシカルバレエの振付でない時)、

最も違いが出るのは、腕の置き方だと思っている。

プログラム途中にボディアートを施したクマガイが、

描いた高橋克幸と踊ったダンスではそのアームスの使い方で、

人間から妖精への変貌も遂げられた。)


「定禅寺」を引っ張る、引っ張る。

しかし、見た目に動いていない時間も長く続く。


こんな表情をクマガイのダンスでみたことはなかった。

彼女はダンスを生業としてはいないが、彼女が踊る時、彼女は真にダンサーである。


恥ずかしがらずに、これだけで通したらいいのに…とも思うのだけど、

そうしたらば、おそらく万人に受けるダンスにはなるだろうが、やっぱりクマガイではない。

私なりに、いろいろダンスをみてきたが、

出来すぎてしまうとつまらない、

クマガイ程度がちょうどいい。

(ほめてんだかけなしてんだかわからないと思うかもしれないが)


作品に良い悪いというのはないと思う。

ただ観た人にとって好みかそうでないかだけである。

どんな風に好きかに芸術論が生まれるのだろうけど。

それだってそれぞれでよくて、

もし私にとても大事にしていることは何かと聞かれたならば、

自分らしいか、似合っているか、

つまり、より個性的であるかということだ。


クマガイのダンスは他で観たことがない。