定禅寺2×3パフォーマンスステージ クマガイミホ「定禅寺ノンサイトスペシフィック」
のっけから、なんともふざけている!
これでも褒め言葉であるし、
彼女の、時にお笑い系な作風は、師近藤良平氏を崇拝してのことであるのも知っている。
また観た人には想像できないかもしれないが、実はとってもシャイなことの裏返しであることも。
クマガイが一発目だと言っていた、「メローイエロー…」から、私が観るのは6作目であるが、
どんどん余計な力も抜けて、反比例的に作品としての強度が増してきているのが分かる。
芝居の脚本を手掛けたこともあるクマガイ。
構成がしっかりしている。が、パーツとしては即興がベースとなっている。
いつもはお笑いから続く、明るくふわふわとしたファンタジックなダンスが続くのだが、
今回はクマガイのソリッドな表情もみられた。
「ノンサイトスペシフィック」
勉強不足で申し訳ないが、彼女がよく言っているところの「地踊り」ということか。
定禅寺「夏の思い出像」に何本ものゴムがくくられており、
そのゴムを縫い付けた服をクマガイが着ると、
豹変した。
ものすごい集中力で、
時折ゴムが首に引っかかるのではないかと観る側にも緊張が走る。
動きというよりは銅像との綱引きだ。
自由でない。抗っている。
そこから生まれるもの。
おそらく(というより本当に(と書いて「マジで」と読みます))練習していないから、
クマガイ自身もその時を、場を、味わっていたはずだ。
パラシュートを広げた時のようにアラスゴンドに保たれたアームス。
(クマガイはバレエの基礎もある。
バレエというと、脚がよく働くと思われるかもしれないが、
コンテンポラリーダンスで(クラシカルバレエの振付でない時)、
最も違いが出るのは、腕の置き方だと思っている。
プログラム途中にボディアートを施したクマガイが、
描いた高橋克幸と踊ったダンスではそのアームスの使い方で、
人間から妖精への変貌も遂げられた。)
「定禅寺」を引っ張る、引っ張る。
しかし、見た目に動いていない時間も長く続く。
こんな表情をクマガイのダンスでみたことはなかった。
彼女はダンスを生業としてはいないが、彼女が踊る時、彼女は真にダンサーである。
恥ずかしがらずに、これだけで通したらいいのに…とも思うのだけど、
そうしたらば、おそらく万人に受けるダンスにはなるだろうが、やっぱりクマガイではない。
私なりに、いろいろダンスをみてきたが、
出来すぎてしまうとつまらない、
クマガイ程度がちょうどいい。
(ほめてんだかけなしてんだかわからないと思うかもしれないが)
作品に良い悪いというのはないと思う。
ただ観た人にとって好みかそうでないかだけである。
どんな風に好きかに芸術論が生まれるのだろうけど。
それだってそれぞれでよくて、
もし私にとても大事にしていることは何かと聞かれたならば、
自分らしいか、似合っているか、
つまり、より個性的であるかということだ。
クマガイのダンスは他で観たことがない。